月光の下、泥にはまる馬鹿一人、栄光と悲劇

  3連休、2度目の釣行。夜明けに行くとその日一日眠くて終わってしまうので、夜に行くことにした。1月は釣果が一番厳しい気がする。産卵後の戻ってきたシーバス狙いだと思うけど・・。

 

  うちの奥さん、一応子供のためだがザリガニ飼ってて、最近繁殖に成功し、ザリガニの赤ちゃんがわんさかといる。俺は「少なくとも県内でザリガニ飼ってて、しかも繁殖に成功した主婦はお前だけだ。」と賞賛している。それはどうでもいいことだが、その産卵・孵化が終わり、子離れしている母親ザリガニだが、世話をしていない俺の姿を見ても、ハサミを持ち上げてケースに寄りかかってくる。何をやってるのかと思ったら、なんと人の姿を見て餌をくれと言ってるのだそうだ。確かに餌をやると喜んで飛びついてくる。卵を抱えていた間、1~2ヶ月は何も食べてなかった。しかし、産卵後は食べて食べて食べまくり。

 

  なんで、こんなにザリガニの話を書いたかというと、やはり自然界では産卵というのは命がけ、人生最大の大仕事。その後は体力回復のため食べまくる。シーバスも酷寒の時期だけど、やはり食欲だけは戻ってくる。だから、近くにいればルアーに食いついてくれる。そんな期待を抱くようになった心境を言いたかっただけ・・・。

 

  さてと、そんな期待を勝手に抱いたところで俺の釣果とはどうせ関係ない。どうせ釣れないなら、今まで行ったことないところに行ったろうか。まず、第一弾は吉野川南岸だ。前日子供と下見したところ。吉野川大橋の近辺でやってみるか。大潮の下げ7分くらいのタイミング。誰もおらん。怖い。河川敷に何台も車が止ってるが、釣り人ではない。こんなところに車止めて何やってんだ?乗ってるのか?

 

  ウェーダー履いて川に入っていく。まずは中州に上陸して・・と思ったら、その前の川筋が予想より深い。数mも行かない打ちに膝より深くなり、とても渡れそうにない。足下もずぶずぶ沈んでいくし、こりゃやばいと思って下がる。しょうがない。下流側の中州のない方に行くか。しかし、砂じゃなくて泥だな。ヘドロだよ、ほとんど。昔はこんなじゃなく、砂を掘ればシジミがいくらでも出てきたと母親が言ってたな・・・。

 

  げげ!!膝くらいまで泥に沈む!!

 

  や、やばいこれ。水際まで全然届いてないのに、既にずぶずぶと沈んでいく。まるで底なしの勢い。か、帰りたい!!しかし、足が抜けん!!なんとか引き抜くが、体を岸に向けるのも一苦労。足を抜こうとしても泥の圧力で動かない。足を引き上げても、ウェーダーのブーツの部分から足が抜けてしまうだけ。泥から引き抜くには、足と同時に手でウェーダーを掴んで引っ張り上げないといけない。しかし、1回じゃ全然無理で何回も何回も引っ張り上げる。当然、踏ん張ってる方の足はその間どんどんヘドロに沈む。右足が抜けたら、今度は左足。抜けたらまた右足。先の見えない格闘が続く。大橋の明かりの下、泥にハマる馬鹿一人。ああ、このくそ寒い中、昼間のテニスより汗かいてきた・・・。

 

  もう戻れないんじゃないかと思って半べそかきながらも何とかやっと沈まないところまで待避成功。ヘドロまみれのウェーダーを最初に入った場所の川水で洗う。ルアーを1投もしないまま撤退・・・・。

 

  もう、南岸なんか行けへんわ!!ばかやろう!!

 

  ああ、人間、痛い目見ないと本当の意味で理解できんな。ここでは釣りができないということがよくわかった。もう、鳴門やらどこへやら行く時間はない。結局、行き慣れた北岸へ。なさけないのー・・・。時は22時過ぎ。潮止まりは多分24時過ぎ。まあ、ここはさらっと1時間くらいで流して、やったこと無い場所に足を運んでみようか。

 

  明るい満月。風はほとんど無い。大潮の引き潮に引かれ、川の流れはかなりある。上流側から投げ始め、徐々に下流側に狙いを変えて行く。潮が引いて、テトラが出てきてる。コケや海苔が付いてるので、滑りやすくて危ないけど、そこまで行かないとロッドの先が川の水面に届かず、目の前にテトラに引っかかってしまう。

 

  まあ、予想はしとったけど、全然反応無し。一昨日の夜明けもだめだったしな。1日やそこらでシーバスが入ってくるはずないよな。さらっと流していきたいけどテトラだし、ルアーを投げられるテトラを探すのに時間がかかる。水深が浅いので使うルアーは表層を泳ぐフローティングミノーだけでいいだろ。

 

  1時間くらい経ったか・・・。もっと上流の方に行ってみようかな・・・。相変わらずだーれもおらんし、釣れるタイミングじゃないんだろう。

 

 

 

  もぞもぞ ギュウウン!!

 

 

なんか来たぞ!!

 

  ロッドを下げて強めにあおり追いアワセを入れる。結構重いぞ。魚やな!!

 

  しかし、フローティングミノー使ってる割に水面に出てこない。やばい、ロッドに伝わる感覚が下に向かってる。テトラに潜られると一巻の終わり。強引にポンピングで上に引き上げる。それでも抵抗は下へ下へと

 

  うー・・・、嫌な予感がする。重い割にドラグが鳴るほどの走りは無い。あまりロッドに振動がない。抵抗が直線的だ。これはもしかして・・・・ボラのスレ掛かり?? ものすごい強い引きで大物が来たと狂喜乱舞させながら、その姿を見せた途端シーバスアングラーを絶望と失意の底にたたき落とすあれか!?

 

  とりあえず半信半疑でポンピングを続けて寄せてきた。魚の姿が見えてきた。うー、なんだあれ?細長い魚体がぎらっと光ってるな・・・・、シーバスみたいだ!!

 

  しかし、取り込みにまた手間がかかる。タモを伸ばすが、下ではなく、前に伸ばさないといけない足場なので、操作が難しい。ライトも薄暗くてよく見えない。ぎりぎりまで水際近くまで滑るテトラの上を移動。すくえたか?あれ?なんかおかしいな?タモに入ってる感じはしないけど、タモを動かすとついてくる。もうええわ、ロッドを置いてタモを引き寄せる。

 

  あらら、タモに入ってるのではなく、ルアーのフックがタモに引っかかってるだけだ。テールフックの針一本が上あごの口の端に刺さってるだけ。やばい。慌てて手で下あご掴んでキャッチ成功!!

 

  けっこうでかーい!!やったー!!この場所で自己記録達成だ!!フィッシュグリップで掴んでテトラ際の水の中に落とし、メジャーをベストのバックパックから探す。あれ?無いぞ?どこ行った?物がごちゃごちゃ入っててよくわからん。ワームがいっぱいあって、予備グローブがあって、下痢止めが入ってて・・・全部一度外に出すか。あ、あった!!これこれ!!

 

  かーん、ぼちゃ。

 

  空しい音が静かな海に響く。メジャーを喜んで取り出した瞬間、それに引っかかったリールの替えスプールが飛び出し、テトラに当たり、海に落ちた・・・。やばくないか、それ・・・。

 

  とりあえずサイズ計測と写真を急がねば。しかし、テトラの上、計測できる場所がほとんど無いし、置いたら俺の足の置き場所無いし滑るし、なんかルアーやラインやロッドやタモが絡んできて、あーもうわけわからん!!

 

 

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  77か8くらいかな。やりました!!泥にハマって切れて帰らなくて良かった!!諦めないで投げて良かった!!やっぱりシーバスはかっこいいなー。これだからシーバスはやめられませんな!!!

 

  シーバスには早々にお帰りいただいてと。替えスプールは・・・水面の中をライトで照らしのぞき込むが・・・・まったくわからん。ダメ元で手を水の中に突っ込んでみるがまったく手応え無し。あかん、水が冷たすぎる!!こんな冷たい水の中でよく生きてられるな、魚は。元気なくなってもしょうがないか。それでもベイトを求めて近寄ってきたと言うことか。

 

  この後、30分くらい続けたけど反応無く、納得して撤収。

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  サイレントアサシン99Fがデビューせんでやってくれました。うたい文句通り、99mmで14gというスペック以上に飛ばせる感じ。投げるときにルアーの重みがしっかり感じられ投げやすい。月光下のレインボーが効いたか?ショアラインシャイナーで同サイズのいい感じのないので、これは良かった。

 

  で、スプール。ネットで注文。ラインと合わせて1万円越える・・・。ルアーロストよりはるかに痛い出費。へたくそだなー、やっぱり。こういうところで釣りの上手い下手って出るんですよ・・・。