苦渋の初釣り

  当然のように釣りへ。夜明け前から鳴門。強い北風を予想してた。でも現地に着くと思ったほどではなかった。さらに潮位がかなり低い。これもまた予想外。しかし、普段は入れないとこり入って静かな海面に向かって投げる。2投目。・・・?ぶるぶるするな?ロッドを上げてみる。あ、やっぱりロッドの先がぶるぶるしてる!と思った瞬間ふっと軽くなる。同時に海面でバシャッと何かが暴れた音。あー、ばれた・・・。太刀魚っぽかったな。でも、あんな水面で暴れるかな?フックが外れたのが水面近くだったのかな?

 

  その後、一通りルアー変え足場変え探っていくけど反応無し。沖の方の空が明るくなってきたのがわかる。風表の波が高くなる場所に移動始める。焦る。小走り。

 

  波がどかんどかん来るのを期待してたけど、やはり思ったほどではない。サラシはあるけど、足下辺りだけ。まだ潮位が低く、足下近くはルアーが底に当たってしまう。何となく感じの良さそうなポイントに入る。裂波140は潜りすぎるので、ショアラインシャイナーSL14に変えた。数投目。ぐぐぐっと何かの反応。来たか!?波の抵抗があってわかりにくい。様子を感じながらリールを巻き上げる。やはり何かの手応えを感じる。ゆるめだけどドラグも鳴る。しかし、少しすると動きが止まる。何だ?やっぱり根掛かりか?ロッドをあおる。いや、動き出した。再び巻き出す。

 

 ぷつっ

 

  なんでじゃ・・・。無理に巻いたりしたわけでもないのに、明らかにラインが切れた感触。ラインが風にたなびく。ラインの先を見る。リーダーは残っている。先の方はざらざら。根か。根に潜ったかこすられたか・・。よく見ると、スナップに結んだ結びコブが残っている。は?どういうこと?結んでスナップと接したところが切れたと言うこと?そんなところ根に擦れないよな。結んだときは手で強く引っ張っても当然切れなかった。なんでこんなところが・・・。

 

  リーダーが残ってたので素早くルアー付け直して再開。しかし、数少ないチャンスを逃したアングラーに結果は付いてこない。日が完全に昇って終了。無念。2回も反応がありながら、その姿さえ見ることができなかった。しかもまた意味不明のラインブレイクをしてしまった。VEPの残り使ってたんだった。フロロカーボンだったら切れなかったのかな・・・。

 

番外

  車に戻る途中。なんか、みすぼらしいおじいさんに話しかけられた。「すんません。車のバッテリーがあがってしもうて・・・。助けてもらえませんでしょうか・・・。コードとかそろってるんで・・・。もう3日経つんです・・・。買えるときでかまわんので、その先によってもらえんですか・・。」

 

  え、なになに?バッテリー上がりで3日間?何言ってんだ、この人。なんか襲われたりしないだろうか?すごい不安だが、蟹座B型の性格故、お人好しにもハイと言ってしまった。帰り支度を済ます。普通は海沿いのものすごい細い道で車では入らないが、たまたまvivioに乗ってたので、おそるおそる入っていく。道沿いになんか紙に書いて石で固定しているのを見つけた。「助けてください。バッテリーが上がって・・・。」みたいなことを書いている。どこだ?ほんとうなのか?よく見ると、空き地の奥に軽のバンが止まってる。よく見るとあのおじいさんもいる。入っていくが。全く舗装されてない土の地面。がたがたしながら進んでいく。

 

「すみません・・・・。」

 

  未だに警戒心の取れない俺。一応、車の正面に付けてボンネットを開ける。コードのつなぎ方はよくわからないので、おっさんに任せる。で、おっさんの車もエンジンがかかった。「すんません、ありがとうございました・・・。」 「こんなとこで何やってたんすか?」 「夕日が綺麗だったんで、車止めて酒飲んでたら、つけっぱなしでねてしもうて・・・。もう4日目ですわ。電話もなくて。わはは。」

 

  4日目?俺が29日に釣りに行ったのと入れ替わりくらいと言うことか?じゃあ、大晦日や元旦もここで過ごしたのか?ナンバーは尾張小牧だった。誰にも連絡取らず(取れず?)、近くの民家にも頼まず、ただひたすらあの手書きのSOSを置いて助けを探してたのか?何をやってんだ、この人は・・・。